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矯正歯科医院経営「3つのステージと3つの視点」

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戦略
高橋信也
歯科医院に限らず、売上の壁という言葉を耳にされたことがある先生も多いのではないでしょうか。
1億の壁、3億の壁、そして10億の壁です。簡単にいうと売上1億円を達成するための経営と3億円、10億円を達成するための経営は全く別という考え方です。
弊社のコンサルティングも1億円を突破するまでの内容と3億円を突破していくための内容は、当然ですが異なってきます。

 

3つのステージ

矯正歯科医院も他の業種と同じように売上の壁、ステージがあると考えています。矯正歯科医院の場合、診療時間とユニット数でキャパシティーが決まっています。そのため、売上ではなく、治療契約人数をベースにステージを分けています。

1st Stage…年間100名までの治療契約

2nd Stage…年間100名〜150名までの治療契約

3rd Stage…年間150名以上の治療契約

年間100名までの「ファーストステージ」は院長一人で初診カウンセリングから診療まで可能です。

年間100名を超え、150名を目指していく「セカンドステージ」になると、徐々に予約が取りづらくなり、院長一人での初診カウンセリング、診療体制に限界がきます。

そして、年間150名を超えてくる「サードステージ」では、診療時間、ユニット数などキャパシティーの問題、診療体制を見直さないとスムーズな診療ができない状況となります。

 

3つの視点

経営はバランスがとても大切になります。そのため、矯正歯科医院経営を3つの視点から考えていきます。

1. マーケティングの視点

マーケティングの視点とは、売上を拡大していく視点になります。
初診相談数をどの来院ルートから何人集めるか、そのために、どのようなアクションをしていくか考え、行動していきます。例えば、ホームページから初診相談数を30人集めると計画した場合、アクセス数をどのように集めるのか等を具体的に考えていくことになります。
また、売上を構成する要素である成約率(契約人数/初診相談数)を何パーセントにするか、そのパーセントを達成するために、どのようなアクションをしていくのかを考え、実行していきます。

2. マネジメントの視点

マネジメントの視点では、「組織」と「人」の両面から考えていきます。コーディネーターを配置するのか、どのように人が育つ環境を整備するのか、組織として考えていきます。
また、コーディネーターの育成、歯科衛生士のスキルアップなど、個々のスキルアップも図っていく必要があります。

3. システム化の視点

システム化の視点では、人に依存していたものをシステム化し、だれでも同じようにできるようにしていくことです。例えば、患者情報の管理の方法、アポイントの取り方などがあげられます。

 

ステージに応じた経営戦略

ステージに応じた経営戦略とは、限られた時間を3つの視点のどこに重きを置いて経営していくか、ということになります。

1st Stage

年間の治療開始人数が100名に達していない「ファーストステージ」では、マーケティング活動に注力していきます。

このステージは、患者アポイントが入っていない時間帯もありますので、その空き時間もマーケティング活動にあてることができます。マーケティング活動は2つだけです。

1つ目は、初診相談数をとにかく増やすようにアクションしていきます。
ホームページからの新患を増やしていくのであれば、毎日ホームページのアクセス状況を確認し、さらにコンテンツを充実させる、アクセス数を確保するためであれば、ブログを毎日更新する、あるいはリスティング広告を活用するなど、多くの時間を割いて頂く必要があります。
広告を嫌う先生もなかにはいらっしゃいますが、クリニックの存在を患者に知ってもらわなければ、看板を出していない飲食店と同じです。
一般歯科からの紹介を増やしていきたい場合には、歯科医師会の活動をしたり、挨拶まわりをしたり、SNSを活用したり、とにかく接触回数を増やすことを意識して時間を使っていきます。
2つ目は、成約率を上げていくことです。
バイト先の一般歯科では成約率は高かったのに、いざ開業してみると、なかなか成約率が上がらない、というケースを見かけます。当然の結果だと思います。バイト先では、バイト先の院長と患者の信頼関係ができており、あとは矯正医が治療の話さえすればよいという状況ですから。
成約率を上げていくためには、患者台帳をつくり、どのようなパターンのときに成約できたか、何が良かったかを体系化していく必要があります。
問診票の使い方、説明の仕方、治療へのハードルが何だったか等を具体的に記載していき、成約パターンの数を増やしていく必要があります。
このステージでは、マーケティングに80%、人材育成に20%ぐらいのパワーバランスになります。

2nd Stage

年間の治療開始人数が100名をコンスタントに超えてくる「セカンドステージ」では、マーケティングの視点からマネジメントの視点、システム化の視点へパワーバランスをシフトしていきます。

100名をコンスタントに超えてくると、アポイントが取りづらい状況がでてきます。特に、初診相談の予約が2週間以上先になる場合は要注意です。

マネジメントでは、コーディネーターを育成する、歯科衛生士の業務範囲を増やしていき、院長の時間を確保していく必要があります。また、システム化では、アポイントの取り方や患者管理の方法など誰がやっても同じようにできるようにシステム化していきます。
ファーストステージで、新患の集め方、また成約率の体系化ができている状況ですので、組織、人に目を向けていくステージになります。

3rd Stage

年間の治療開始人数が150名を超えてくる「サードステージ」では、「戦略」があるかどうか、とても大切になります。
なぜなら、このステージにくると、売上は伸びてきているのに、思ったほど利益が上がらない、という状況もあり得ます。クリニックの収益構造、キャパシティー等を考慮した「戦略」が必要になります。
このステージは、他のクリニックの成功事例を模倣するだけでは難しくなります。また、損益分岐点が上がってきますので、マーケティング活動の1つ、安定した初診相談数を確保するための「戦略」を再度構築する必要があります。