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矯正歯科医院経営「コーディネーター」
矯正歯科医院の場合、「一回の初診カウンセリングで治療をはじめるかどうか」、意思決定を促す必要があります。 しかし、ほとんどの患者は、はじめての矯正治療のため、解らないこと、不安なことがいっぱいです。 この一回の初診カウンセリングで意思決定してもらうためには、この解らないこと、不安なことを一つ一つクリアしていかないと、患者は短時間で意思決定することはできません。 また、患者は先生に聞きたいことをすべて聞くことができません。患者が聞きたいことは様々ですが、一番聞きたいことは、先生の腕、治療技術です。 「先生、治療はうまいんですか?」と、先生に直接聞ける患者はほとんどいません。 ここで必要になるのは、患者が先生のことについて聞ける第三者の存在です。先生以外の第三者、コーディネーターが院内にいることで、患者は先生に直接聞きにくいことを聞ける環境をつくることができます。
コーディネーター導入のメリット
1. 患者満足度のアップ(成約率のアップ)
コーディネーター導入の一つ目のメリットは、患者満足度のアップです。 では、「患者満足度とは、何でしょうか?」「患者が満足する初診カウンセリングとは、どのようなカウンセリングなのでしょうか?」 満足度は、「事前の期待値を満たすものであったかどうかで決まる」ものです。例えば、数万円するレストランに行く前の期待値と、ファーストフードに行く前の期待値は全然違います。 同じ人間であっても、状況によって期待値は変わってきます。当然ですが、人によってもこの期待値は変わってきます。 期待値を満たすためには、まずこの期待値を把握する必要があります。期待値を把握することができれば、その期待値に応じた初診カウンセリングが可能になりっます。 では、この期待値を把握する役割として、ドクターは適任でしょうか? ドクターは、治療従事者であり、また当事者であるため、あまり向いていません。適任は、第三者であるコーディネーターです。 第三者として、「今日は、先生にどのようなことを聞きたいですか?」「先生について、聞きたいことはありますか?」など期待値をこちらから引き出す質問ができるからです。 コーディネーターが期待値を把握してからカウンセリングを行うことで、患者に応じたカウンセリングができ、患者満足度は高くなり、その結果として成約率も高くなります。
2.ドクターの時間の確保
コーディネーター導入の二つ目のメリットは、ドクターの時間の確保です。 実際、患者数が多くなってくると、初診カウンセリングの時間をドクター一人で対応することは、難しくなってきます。無理に行ったとしても、初診カウンセリングの予約が1ヶ月以上先になったり、初診カウンセリング中に席を立つ回数が増えたりと、患者満足度に影響してきます。 また、歯科医院経営は労働集約型のビジネスであり、いかに時間当たりの売上、利益を高めていくか、というところに行き着きますので、コーディネーター導入で、ドクターの時間を確保できることが大きなメリットです。
3. 治療と契約
コーディネーター導入の三つ目のメリットは、治療の話はドクター、契約に関係する話はコーディネーターと分けることができます。 ドクターは治療の話に集中することができ、患者の懐具合を考えることなく、ベストな治療の提案をすることが可能になります。また、コーディネーターは、契約に関することを中心にカウンセリングを行いますので、治療の詳細な知識は要求されません。
4. スタッフモチベーションのアップ
コーディネーター導入の四つ目のメリットとして、スタッフのモチベーションのアップ、チーム力のアップをもたらします。 コーディネーターとして、患者と深く関わっていきますので、必然的にモチベーションはアップします。また、初診カウンセリングをチームとして行うために、院内でのコミュニケーションも自然と活発化し、チームワークも良くなってきます。 実際にコーディネーターを導入しているクリニックでは、初診相談数から精密検査数、契約人数などの数値管理をコーディネーターが管理しているところもあり、経営に関する部分でもチームとして取り組みができているところが多くなっています。
コーディネーターの4つのスキル
コーディネーターのスキルは4つに分類することができます。この4つのスキルを身につけることで、患者満足度の高いカウンセリングが可能になります。そして、成約率のアップに繋がり、経営面でも大きなプラスになります。
1. アイスブレイク力
一つ目のスキルは、アイスブレイク力です。 患者がはじめて初診カウンセリングでクリニックを訪れる際、「どんな先生だろう?」「聞きたいことは聞けるかな?」「分かりやすく説明してもらえるかな?」など、期待と不安がいっぱいです。 アイスブレイクとは、初対面の人同士の時に、不安や期待からくる緊張感をときほぐすためのスキルになります。アイスブレイクによって、コミュニケーションがとりやすい雰囲気を作り、患者が質問しやすい環境を整えていきます。 アイスブレイクの代表的な技術として、名刺の活用方法、挨拶、笑顔での対応、自己紹介、雑談などがあります。
2.ヒアリング
二つ目のスキルは、ヒアリング力です。 例えば、「矯正歯科治療のことをもっと深く知りたい患者」と「どこで治療をするか、医院選びをしている患者」では、説明する内容は変わってきます。 つまり、ヒアリングができていないと患者に応じた説明はできないことになります。どんなプレゼンテーションをするか、そのための事前準備をするためにヒアリングが必要になります。 患者が不安に思っていること、矯正治療をはじめる上でもっとも重視していることなどをヒアリングしていきます。 ヒアリングは、ミラーリング、ペーシング、キャリブレーション、バックトラッキング、傾聴、オープンクエスチョン、チャンクアップなどの技術を使い、患者が聞きたいことを整理していきます。また、事前期待値も把握していきます。
3. プレゼンテーション
三つ目のスキルは、プレゼンテーション力です。 プレゼンテーションは、患者が聞きたいことを中心に行います。まず、治療に関することは、ドクターが説明していきます。 そして、ドクターの説明をうけて、コーディネーターがドクターの説明で分かりづらい点はなかったのか、もっと聞きたいことはないか、などを確認し、追加で説明していきます。 また、治療がよりイメージできるように、今後の治療の流れやBefore-Afterの写真を活用しながら説明していきます。そして、治療費のこと、支払い方法のことなど契約に関することも、コーディネーターが説明していきます。
4. クロージング
四つ目のスキルは、クロージング力になります。 クロージングは、意思決定を促すこと、具体的には、次のアクションを明確にすることです。例えば、初診カウンセリング後、家族と相談して返事、と言う場合、「誰が」「誰に」「いつ」連絡をするのかを明確にしておきます。 また、クロージングのポイントは、クローズドクエスチョンを用いることです。 意思決定を促すことで、「聞きたいことが聞けたのか」、「説明でわかりづらいところはなかったのか」、など確認することができます。もし、追加での説明が必要であれば説明し、再度クローズドクエスチョンで患者の意志を確認していきます。